社会人に大切な「交渉力」ハーバード流交渉術【分かりやすく解説】
良い交渉とは何かを知りたい方へ
交渉をかけ引きだと勘違いしている。
本当の交渉とはどういうものなのか知りたい。
具体的にどう進めていければいいのか知りたい。
本記事では、下記の内容を解説します。
目次
- 1.社会人に交渉力は非常に大切
- 2.ダメな交渉「ハード型」「ソフト型」
- 3.良い交渉「WinWinポイントを一緒に探す」
- 4.実際に良い交渉を使う
この記事を書いてる私は、社会人として15年、営業・マーケティング・管理職の立場で交渉を経験してきました。
ただし、ハーバード流交渉術の本を読むまでは完全に交渉ということを理解していませんでした。
この本からの学び、実践し、体験したことを紹介します。
1.社会人に交渉力は非常に大切
社会人に交渉力はとても大切です。
【理由】
■営業職
・新規のお客様を開拓する交渉
・お客様とサービス内容や価格などを決める交渉
■営業職以外の仕事
・都度、上位者の承認をとる交渉
・社外の関係者から承諾を引き出す交渉
■プライベート
・奥にお願い事をするのも交渉
・家庭のルールや基準をつくるのも交渉
私も、3年前に営業や営業以外の仕事(マーケティング、管理職)を経験し、プライベートでは妻子がいるため、交渉の重要性を実感しています。
人里離れて人と合わない生活をしている方の必要性はわからないものの、社会人はどんな職業もにおいてもどんな役職でも、なかなか交渉からは逃れられません。
2.ダメな交渉「ハード型」「ソフト型」
まず、ダメな交渉の一例です。
ダメな交渉の一例「ハード型」
素晴らしい交渉ってどんな交渉だと思いますか?
相手を論破して、自分の計画通りの結果にする。これが最高の交渉の形です。
とイメージする方も多くいると思います。
ただし、相手を論破する交渉はハーバード流交渉術では駄目な交渉です。
なぜなら、論破する交渉で手に入れた利益は長続きしないため。
商売の原理では、持ちつ持たれつの関係が重要です。お互いに win-win だからこそ長続きします。
【理由】
・片方が搾取や無理やり押し付けらる関係は破綻するため
・メンタル面、心理的にも相手に不満を与えている状態になるため
・相手から復讐されることにもつながりかねないため
相手を論破する交渉は、本の中では「ハード型」の交渉と表記されています。
このタイプの特徴は、一瞬の快楽と成功は得られるものの、トータルで考えると損をします。なぜなら、相手を論破することは、1回の商売だけで相手の全てを奪う仕事(例:詐欺師)などに限定されるからです。
まず、継続的な関係を築く場合、「ハード型の交渉は良くない」と覚えてください。
ダメな交渉の一例「ソフト型」
では、交渉時に相手を論破するのではなく相手の言うことを全部聞いてあげましょう。
とイメージする方もいると思います。
ただ、相手の言うことを何でも鵜呑みにする交渉もハーバード流交渉術では駄目な交渉です。
なぜなら、相手の言いなりになってしまうからです。
例えば、得意先の要望を全部飲みして「得意先のAさんがこう言っていました」と上司に報告するのが仕事だと勘違いしている方もいます。
本の中では「ソフト型」と表記しています。
相手も同様にソフト型であれば大事故にはならないものの、交渉相手が悪意あるハード型の場合、甚大な損失を被る可能性があります。
【補足】上記の例えは「若手で経験値が浅い人」でしたが、ソフト型の人は他にも多く存在する傾向にあると感じます。
・争いごとを好まない方
・言いたいことが言えない方
・あまり深く考えない方(思考が浅い方)
この「ソフト型の交渉は良くない」ことも覚えてください。
3.良い交渉「 Win-Winポイントを一緒に探す」
結局はハード型もソフト型もどちらも「駆け引き型」の交渉と呼ばれる交渉に分類されます。「駆け引き型」の交渉とハーバード流の交渉とは全く違います。
えっと待ってください。ハード形で押してもダメ、 ソフト型で引いてもダメではどうすればいいんですか?
結論をいうと、「駆け引き型」の交渉ではなく 「原則立脚型」(原則やルールに従い交渉すべき)です。
個人的に「原則立脚型」を分かりやすく言い換えると「Win-Winポイントを一緒に探す」です。
「Win-Winポイントを一緒に探す」というように、実際の交渉は「駆け引き」ではなく「一緒に探す」ものなのです。
その理由を、本にある具体例をもって説明します。
具体例(みかんの話)
例えば、1つのみかんを A さんと B さんが奪い合っています。
もし、A さんが「駆け引き」の交渉(ダメな方)を仕掛けた場合、
- ハード型:Bさんを論破してみかんを一個を奪う→結局Bさんから恨まれる。
- ソフト型:Bさんの要望を聞いてしまい→Bさんにみかんを食べられる 。
これでは、お互いにWin-Winになりません。
そこで、 A さんが「Win-Winポイントを一緒に探す」交渉を仕掛けます。
具体的にどうするかと言うと、お互い敵ではなく仲間としてWin-Winポイントを探す提案をします。
・お互い何が欲しいのか?
・みかんの具体的にはどの部分が欲しいのか?
・お互いにどうにか納得して分けあえる方法はないのか?
そうすると何が起きるか・・・
- A さんが欲しいのはみかんの皮
- B さんが欲しいのはみかんの中身
と分かったのです。
すると、お互いが納得してみかんの皮とみかんの中身を分けられたのです。
この「みかんの話」はわかりやすく表現するために作られた話のため、綺麗に適合し過ぎではあるものの、「一緒に探す」交渉は、お互いに win-win のポイント、みかんの皮と中身を分け合うようなポイントを探すということです。
【補足】交渉とは「白黒はっきり」ではなく「別の色を見つける」ことです。
交渉の場面で「白黒つける」言葉が使われます。私も営業を経験する前は、TV等の影響もあったのか、白か黒しかないのかと思っていました。しかし、実際はその白か黒で着地するのではなく、お客さんと協力して別の色を探す。お互いが納得できる色を白か黒以外で探すことが重要でした。
■4.実際に良い交渉を使う
ここまでは概念的な話でした。ここからは私の実体験も含めて具体的な交渉の進め方を解説します。
結論からいいますと、やるべきことは大きく三つのステップに分けられます。
- 相手に話してもらうこと
- お互いの利益について語り尽くすこと
- 一緒に白黒以外の色を探すこと
(1)相手に話してもらう
まず相手にとにかく喋らせること。情報を聞くこと、これをまず最初にやります。
この最初のステップはとても大事です。その後のステップにも効いてきます。
【理由1】情報収集
【理由2】メンタルブロックを外す
本には書いてないですが、問題解決は「なに→なぜ→どうする」の3ステップと考えます。(どうするの前に「どうなる」が入る場合もあります。)言い換えると、「現状把握→原因究明→施策立案」です。
まず、相手と折り合うか分からない状態には、現状把握のための「情報収集」が必要です。※理由1
その情報収集をスムーズに行うためには、交渉相手から「嫌いだな」とか「生理的に無理だな」と思われないことです。※理由2
私は、家族・休日の過ごし方など商売に関係なく相手の情報を引き出しました。
話をしてもらう。自分は聞くことが重要です。自分のことを話してもらうと人間は不思議なもので、相手の事を聞きたい状態になります。
(2)お互いの利益を語り尽くす
二つ目のステップで、あなたが求める利益を明確に伝えてください。
なぜなら、あなたが遠慮して欲しいものを伝えなければ、相手の話を聞くだけのソフト型の交渉になってしまいます。
さらに、相手の要求もすべて開示させてください。
お互いの利益を語り相手が何が欲しいのか明確にしないと、三つ目のステップに移行できません。
【重要ポイント】
ここで大事なのは表面的な要求ではなく、ざくざく掘り下げて心の底からの本音を聞き出すことです。
問題解決の3ステップでいうところの2つ目の「原因究明」になります。
例えば、私の営業時代、
定価で商品を多く買ってもらいたい。
安い値段で商品を買いたい
そのような関係でした。掘り下げて質問をします。
何でそんなに安い値段をつけてほしいのですか?
3月に多くの商品を売って、目玉商品にしてお客さんを呼びたい。
こういう深掘りした理由が出てきました。ただ、それでもさらに深掘りしていくです。
それでは、なぜその3月にお客さんを呼びたいですか?
どんどん理由を深掘りしていきます。結果、
会社が設立された記念月に売上の上位に入れば、表彰されて昇進にも影響があるから。
得意先が創業祭シーズンに商品を販売すれば他のシーズンはこだわらない。そんな仕組みが判明しました。
(3)一緒にWin-Winを探すこと
最後のステップは、白黒以外の色も一緒に探すです。
私の問題解決でいうところの「施策立案」です。私は以下の案を立てました、
・商品の価格は下げず、その時期に販促物をつけて、それ以外のシーズンは販促なしで販売する約束があれば協力できる。
そして、自社内の交渉も、自身で損益シミュレーションを作って、上司に承諾を得ました。
最終的に、会社でもあまり前提がない大きな販促をつけて売りました。(販促:通常1商品500円値引き→2000円値引き。4倍引き上げ。)
結果、得意先の担当者も評価されており、自社も年間を通して利益を回収することができ、win-winの関係になりました。
これは、実際に私がWin-Winポイントを探す中でもしっかり適合した一例であり、この3ステップを使っても成功しない交渉もあります。
ただし、基本的な考え方として、これだけは覚えていただきたいです。
・交渉相手は敵ではなく仲間
・交渉とは駆け引きではない
・交渉相手と一緒に相互メリットを探すこと
まとめ
今回はハーバード流交渉術の本をベースに社会人が実践すべき「一緒に探す」交渉を紹介しました。
- 社会人にとって交渉の大切さ
- 押せ押せのハード型でも、相手の言いなりのソフト形でも幸せにはならない
- 駆け引きの交渉をするのではなく「一緒に探す」交渉
- お互いの win-win のポイントを探す交渉をする
- 交渉の具体的な進め方について解説しました
本文内でもお伝えしましたが、社会人はどんな職業もにいてもどんな役職でも、なかなか交渉からは 逃れられないです。
ただ、裏を返せば今回お話しした「一緒に探す」交渉を試すチャンスは多く存在します。
このブログを見てくださっているあなたはもちろん、あなたの交渉相手の方もどっちも幸せになるそういう交渉が増えていけば嬉しいです。
★本の紹介
タイトル:ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)
著者:ロジャー フィッシャー , ウィリアム ユーリー
翻訳:金山 宣夫, 浅井 和子
出版社:三笠書房
※体験談は私の実例です。この記事はサラリーマンYoutuberさらためさんの動画にも影響を受けています。